ロン毛取立人

戦慄怪奇ファイルコワすぎ!と逆転裁判とワンピースで身体の半分が構成されている腐女子です。

ヤンキーが同棲してたらそりゃこの荒んだ世界に降り注ぐ一筋の光だろうよ(同棲ヤンキー 赤松セブン 感謝のレビュー)

ブログタイトル通りである。

 
オタク、奥嶋ひろまさ先生は好きか? 好きなら同志、好きじゃないならば、これから好きになってもらうから何も問題ない。色気を漂わせながら、それでも「男らしさ」を失っていない男たちを描かせたら、恐らく先生の右に出る者はいない。それくらい私が大好きな漫画家の先生である。

 


これは、とある一人の腐女子が「頂き!成り上がり飯」から奥嶋先生を知り、「アキラNo.2」を経て、「同棲ヤンキー 赤松セブン」に墜ちるまでの戦いの物語である。

 


同棲とヤンキー、青年誌とBL、原作担当のSHOOWA先生と作画担当の奥嶋ひろまさ先生、普段ならかみ合うことのない、この二つの要素がそれぞれ合わさることで、この世の全ての生物が慈しみの涙を流す、この世の楽園が誕生するのである。これは紹介せずにはいられまい。

私は現在出ている既刊二巻まで、書籍版と電子版、両方買った。

二巻が出たのが2020年の1月なので三巻が出るのは来年の今頃という事になる。絶望。500巻くらいみたい。どうして時間というものはこの世界に存在するんですか?

 

同棲ヤンキー赤松セブン【電子単行本】 1 (PRINCESS COMICS DX カチCOMI)

左の黒髪がセブン、金髪ボーイが赤松(下の名前は恥ずかしくて人に教えたくない年頃の純情ボーイなので、本編を読んで確かめよう! 後悔はしない)

 


「同棲ヤンキー 赤松セブン」は、そんな核融合が奇跡的に全世界にプラスの方向ではたらいた、人類の叡智の結晶である。まずはAmazonでポチろう。電子書籍版もあるから大丈夫、こんなご時世でも何も問題は無い。

家に閉じこもって死にそうな時はこの漫画を読もう。みるみるうちに生きている事への感謝が生まれ、SHOOWA先生と奥嶋先生に祈りを捧げながら明日に昇る太陽に向かって涙を流す事になる。

 


この物語は、悶々としながら日々を過ごしている、主人公である赤松(受け 可愛い アホ 学生 びっくりする程思春期)が、近所の公園に住んでいる、喧嘩が馬鹿強い過去が不明な男、神崎七焚(セブン)に毎日のようにストレス発散の為、喧嘩を挑むところから始まる。

だが、へなちょこヤンキーの赤松はいつもセブンに喧嘩で勝つ事が出来ない。二人の最初の出会いも中々にパンチが効いており、赤松がイキってセブンに喧嘩を売ったらぼこぼこに返り討ちにされるというものであった。それでも熱心に赤松がセブンに喧嘩を望むその姿勢は一途で大変好ましいと思うと同時に、作中でも言われていた「お前ある種の病気だよ」という言葉が頭をよぎることになる。(それ程までに赤松は喧嘩馬鹿だ)風邪ひいてても喧嘩が第一だぞ!

 
そんな二人がひょんなきっかけ(セブンは公園に住んでいる家なし男だが、その公園が無くなる)で、そんなセブンに何を思ったか一人暮らしをしている赤松が同居を持ちかける。自分は彼の事を何も知らないのに、(まじで二人は喧嘩していないからだ。当初赤松はセブンの名前すら知らない)どうしてだ? と赤松は頭に疑問符を浮かべながらも、二人の、三ヶ月という期限付きの共同生活が始まる事になるのだ。……そう、一話終わりのこの時点では、二人は“同居”をしているのだ。

決して、最初から同棲を始めているわけではない。そして、その「同居生活」から「同棲生活」に至るまでの過程が、現在この作品の最大の見所と言えよう。これは良質なボーイ・ミーツ・ボーイ物語だ。

 
一巻では、商業のものでは驚く程、殆どBLらしいシーンは存在しない。お互いに恋愛感情を明確に抱いているシーンも少なく、最初は「なぜ学生である赤松はアパートで一人暮らしをしているのか?」「セブンは何故公園で暮らしていたのか?」という謎も明かされない。その代わりに何が描かれるのかと言うと、これはもう一言、

「二人が同居生活を通じて親交を深めていく描写」

これに尽きる。

 

布団が一つしか無くて同じ布団で寝、二人して風邪を引く。糞ダサい服装を買おうとするセブンに対して必死になって赤松が止めようとする。コインランドリーで布団を洗う。等々、非常に男らしくも愛おしい、二人の共同生活の描写に多くのページが割かれている。

そんな二人の生活を少しずつ覗いていく内に、その日常生活の中でも、少しずつ少しずつ、背筋を這いまわるようにじっとりと描写されていくセブンの過去にまつわる謎や、純粋に赤松の愛おしさに引き込まれていく事になる。一巻の時点でセブンの過去はかなりきな臭い事が察する事が出来るのだが、読者はその全貌はまだ分からない。くぅ~~~っ、商売上手!!!! 天才!!

 

こうして読者が登場人物に心を囚われてしまうのは偏に、SHOOWA先生のドラマチックで時に日常に寄り添い、時に劇的なエモストーリーと、長年の連載経験で培われた、奥嶋先生の高い画力と繊細なタッチの賜物である。世界に圧倒的感謝。書籍版を購入した時、こんな神描写満載のページをこんなに間近でみて良いものかと頭を捻った程である、

 

読者が本編のページを捲り、一ページ読む毎に尊さと動悸で思わず天を仰ぐ事になるのは、恐らく二巻がメインになるだろう。一巻の後半から物語は大きな動きを見せ、二人の関係にも大きな変化が訪れる。

二巻では、一巻での目先の大きな問題が一応の解決を見せ、その後の二人がなんやかんやあり互いに意識するシーンが大量に増える。恋人と奇妙な友人の間で赤松もセブンも揺れ動き、読者は皆蛙が潰れたような奇妙な声を上げる。

特に素晴らしいと思ったのは、セブンが赤松に感じる感情と、読者の感情がリンクしていく所である。

二巻から、赤松がめっっちゃ可愛い事をする描写がそれはもう大量に描かれる。馬鹿で愛おしい赤松君、よくそんなにピュアでいれたね……と腐女子は心配になってしまう。それに読者が悶えると同時に、セブンも内心で(こいつ可愛いな……)と思う事が増えるのである。こんなんビッグラブじゃないですか? 実際恋をし始めた赤松はめちゃくちゃ可愛いので、皆ハッピーな気持ちになります。悪魔的……ッ!!!!

 
 そして、なんと二人は中盤でチョメチョメします!! 私感動で思わず泣いちゃった……こんな風に登場人物が成長する事に一つ一つ感動できる、思わずキャラが生きていると錯覚する程までに心情も動作も生き生きと描かれている。奥嶋先生、ひょっとして人の形を取った神なのか……? そいつぁ納得だぜ。

 


そして、「同棲ヤンキー 赤松セブン」の一番の魅力と言えばやはり、SHOOWA先生と奥嶋先生の奇跡のフュージョンが織りなす、BL新体験だろう。

 


作画担当の奥嶋ひろまさ先生は青年誌でヤンキー漫画を描かれていた男性の漫画家である。(先生が過去に描かれた料理好きのヤンキーが不良高校のママになって成り上がる料理漫画「頂き!成り上がり飯」は概要からして最高なので全人類読むように。私の推しはサリーちゃんです。ツンデレ即落ち男、非常にいじらしくてキャワである)

頂き!成り上がり飯(1)【特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

(この左端でちょこんと立っているのがサリーちゃんである)

 

そもそも「成り上がり飯」からしてかなりブロマンス臭がする最高of 最高漫画なのだが、そんな漫画を描かれる先生と、BL漫画の相性が悪いわけがないのである。

先生の絵柄はリアル青年誌だ。そこにSHOOWA先生のストーリーが合体する事で、まるで「青年漫画のBL二次創作」を読んでいるような気分に陥る。正直奥嶋先生のイラストでこんなに濃厚なBLを読ませて頂いて良いのだろうか……? 100日後に死ぬ腐女子とかにならないですか?

 

生粋のヤンキー漫画を描かれていた奥嶋先生の、ヤンキー描写は絶妙で、喧嘩シーンにもリアリティがあり息を呑む。正直な話、この企画に奥嶋先生を作画にしようって言った神の使いは誰ですか? 銀行口座にお金を振り込ませて下さい。

 

長い間青年誌で活躍されていた先生だからか、迫力のあるシーンには本当に迫力がある。正直先生の繊細かつ美麗なイラストで死んだ目の男キャラが汚いおっさん犯してるシーン見せられたら漏らしてしまいそうになる。何とは言わないが。二巻最後のセブンの迫力と言ったらもう、思わず小指を詰めたくなる程です。

 
……そんな訳で、同棲×ヤンキーという奇跡の化学反応が織りなす天から降りそそぐ光を具現化した神漫画、「同棲ヤンキー 赤松セブン」をどうぞよろしくお願いします!! 

この愛おしすぎるBLを知らないのは、この令和の時代、あまりにも損をしていると言うしかない。私は預言者なので分かる。

 


ここまで読んだら後はもう買うだけ。リアルガチで汚いおっさんが死んだ目をした青年にわりとリアル目な虫を口に無理矢理入れられて飲み込まされるシーンに抵抗がなければ読めます!(ハードル激上げ)

 

 

 

 

 

 

 

(追記)このブログを書いて先生が行ってらっしゃった生原画が貰えるTwitterキャンペーンに応募したところ、なんと!先生から生原画が届きました……一生の宝物にします、ありがとうございます……!!

 

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このブログが先生に見られたであろうことからは目を瞑ります。大好きです。