ロン毛取立人

戦慄怪奇ファイルコワすぎ!と逆転裁判とワンピースで身体の半分が構成されている腐女子です。

貸せッ!!曇らせはこうやる!!!(In Stars And Time レビュー)

ブログタイトル通りです!!

 

2024年もあっという間に3月になりました。今年初ブログです。筆不精すぎる。

 

オタク、ループ物は好きですか? ……はい、ではここでブルアカのヒフミになります。

 

私には、好きなものがあります!

 

平凡で、大した個性もない私ですが……自分の性癖については、絶対に譲れません!

 

特に、ループ終盤、メンタルが限界になった主人公が、普段通りを取り繕おうとするものの周囲から見たら違和感ありまくりで「大丈夫?」って心配されるシーンがあって、

 

最初はどんな壁にぶち当たっても仲間と一緒に真摯に立ち向かっていけたのに、ループを繰り返すうちに攻略方法も全部理解してしまって一人で全部こなすようになってしまう主人公が好きです。誰にも苦しみを理解されずに、たった一人で泥沼の中に沈んでいくような主人公がいて……!

 

最後の最後に愛すべき仲間たちに手を差し伸べられて、ずっと一人頑張ってきたこれまでが少しでも救われるまでのカタルシスが、最後には確かに希望で終わる物語が、そんなループ物が私は好きなんです!

 

誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!

 

私たちの描く性癖は、私たちが紹介するんです!

 

終わりになんてさせません。まだまだ(ループを)続けていくんです!

 

私たちの物語……私たちの、In Stars And Time を!

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はい、そんなオタクの邪悪な欲望を全てパーフェクトに満たした素晴らしいゲームのレビューを今からします。何故ならめちゃくちゃ流行って二次創作イラストを浴びるほど見たいし漫画も小説も読みたいからです。絶対にオタクが大好きなゲームなのに全然日本で盛り上がってないのが、許せねえ……。

 

注意事項として、このブログにはプレイ体験に支障はないだろうレベルのネタバレが含まれます。というかぶっちゃけこの記事を読む前に先にDLしてプレイしてくれ!!! 絶対後悔しないので!!!

 

1 In Stars And Timeとは?

 

この記事の前書きを見てもらえればもう火を見るよりも明らかなのですが、タイムループを題材にしたRPGです。ファンタジー世界で、ラスボスのいるダンジョンに挑む前日と、突入日の二日間をひたすら繰り返して、あるのかもわからない時間の牢獄からの脱出を目指します。

 

insertdisc5が開発し、Armor Games Studiosから2023年の11月に発売された俗に言うインディーゲームです。steamとswitchから発売中! 私はswitch版でプレイしました。

私がクリアするまでの時間は26時間ほど。ですが人によって時間はマチマチです。

 

store.steampowered.com

store-jp.nintendo.com

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このタイトルと共にデカデカと描かれている隻眼の魔法使いみたいな見た目のキャラが主人公です。名前はシフラン!(翻訳の都合でシフリンだったりするらしいですが、私はシフラン呼びをします)男性か女性かは正式に定まっておらず、公式には男性寄りのノンバイナリー(性自認が男女とも定まっていない人)で、公式だと一人称は僕です。小さくて可愛い。いつだってジョークを言うべきところを探しているお茶目で穏やかな主人公です。彼(便宜上)が滅茶苦茶になるのを体験するゲームです。

 

この、他のRPGだと冒険の中盤に加入してその暗い過去とミステリアスな風貌からファンを沼らせそうな見た目の男が主人公なんです!!

公式で

悩むと気落ちして、強迫観念に襲われることがある(なんとか生きているので心配しないでね)。

と言われています。もう嫌な予感しかしない。

 

RPGでシーフとか吟遊詩人とか、アーチャーとか、いかにも裏切りそうな、ミステリアス飄々キャラが好きになりがちな人は、絶対に向いてます。そのタイプの男が精神的にも肉体的にもぐちゃぐちゃになるゲームです。最高。

 

このゲームには最初に堂々と注意書きがあるのですが、精神的に追い詰められる描写、死の描写、ちょっとしたホラー表現なんかが含まれます。出来ればメンタルを健康に保った状態でプレイする事をお勧めします。あと、一気にプレイできるタイミングでプレイする事を強く強く推奨します! 何故なら続きが気になって連日夜更かしする事になるからです。私の事です。

 

総じて「Undertale」や「OMORI」が好きな人ならハマるタイプのゲームです。あとは「Milk inside a bag of milk inside a bag of milk」なんかも好きな人はハマると思います。海外ゲーの単色ドットゲーが好きな人にお勧めです。私の事です。

 

戦闘システムも誰もが知っているジャンケンシステムなので、最初の数回敵との戦闘をすればすぐに慣れます。システム上同じ敵と何回も戦う事になるのですが、意外と飽きがこない、不思議なバランスです。

 

以下、公式の紹介文引用です。

 

――もし、過去の失敗を何度も何度も繰り返されるとしたら、あなたはどうする?

『In Stars and Time』は運命によって結ばれた”家族”である「シフラン」と仲間たちが、悪の王の暴政を終わらせるために戦う物語。しかし、勝利を目前に悲劇は起き、時計の針は巻き戻り始めた。そして、すべてをやり直すことになってしまった。

ループに気づいているのはあなただけ。
繰り返しの目覚めに作り笑いさえも擦り切れ、それでもなお、希望を胸に歩み続ける。時の悲劇に永久の終止符を打つために。

ループを繰り返すごとに得られる知見は、行く手を阻む試練に対する新たな解決策となり、より良い選択肢を選ぶことを可能にしていく。記憶の鎧を身にまとい、「ウツロイの神」に祈って仲間の能力を上げて、恐ろしい敵にジャンケン勝負を挑もう。その先に待つ真実を求めて。

 

 

この文章だけでゴリッゴリに性癖を抉られるであろう音が盛大に鳴ってますね……ゲヘヘ、最高! ギャヒ!

 

2 愛すべき仲間のためにループしよう、何度も何度も何度も……

 

ループ物というのはよくあるテーマであり、探せばどんな媒体であっても数え切れないほどの作品があると思います。その中でも、このゲームの輝きを一層強くしているのが、「ゲームのプレイヤーも主人公と共に、終わりの見えないループの全てを体験する」点に尽きます。

 

私が過去に見たり読んだりしたループ物の作品はいくつかありますが、それはとあるループの終わりを切り取った作品であったり、途中の過程をダイジェストにされていたりするものが多いのです。だって本当に一から十まで描いていたらいくつ紙面があっても足りませんし、同じことの繰り返しは面白くないから! そりゃあ、一番面白い部分だけを提供するのが理想です。

もちろんそれらのループ物は沢山の名作揃いですし、私が覚えているものもそうです。

 

そこにこのゲームの特色が色濃く表れてます。

 

ループの始まりから、プレイヤーはずっっっっっと、ただの一度も逃れる事無く、この果てが見えない、ゴールすらあるのかも分からない地獄の日々を主人公と共に過ごす事になります。ずっと、光の見えない暗闇の中を模索し続けます。

 

最初は一言一句きちんと読み込んでいた仲間の言葉も、一回二回と繰り返す内にもう見飽きた言葉の羅列に変化し、どれだけ仲間の中で絆を深める感動的なイベントがあっても、次回のループでは主人公以外誰もその内容を覚えていませんし、二度目、三度目は既視感しかありません。それどころか面倒だからさっさと終わってくれとすら願う始末!何度も何度も周回プレイをしまくった顛末のようなものを問答無用で味わう事になります。代り映えのしない町の住民たち、確かに人間なのに、あたかも舞台脚本の登場人物のように見えていく仲間たち……最初から最後まで主人公のシフランと共にループを繰り返すことで、プレイヤーの心境とシフランの心境が完全にシンクロします。

 

ですが何度もループを繰り返すにつれ、同じような会話に思えてもほんの少しだけ違う部分も出てきたりするので、その違いを探すのがどんどん楽しくなってきます。悲しいかな、楽しみ方がシフランと同じです。

 

システム的に、一度聞いた会話は(シフランがぼんやりするという名目で)早送りできるようになるというのも大きいです。最初は楽しく聞いていた会話も、次第に右から聞いて左から流れていく状態になり、全てが台本の台詞のように感じる……主人公の境遇に没入させる手段として、これ以上のものはないでしょう。ループの記憶は自分以外引き継がれないので、他のキャラクター達はいつでも真摯にシフランに話しかけてくれるのですが、どんどん疲弊していくシフランには届きません。

 

訳が分からないまま終わりの見えないループに取り込まれ、最初こそループの力で上手くいった! と喜ぶ彼を微笑ましく見るのですが、次第にどれだけ手を尽くしても再びループが始まり、絶望に打ちのめされるのを見ることになります。本当に何度も何度も何度も……。

 

ループを繰り返す中でどんどんシフランの様子がおかしくなっていくのを、仲間たちは何度も何度も「大丈夫? 悩みがあるなら何でも聞くよ」と手を差し伸べてくれます。ですが、シフランはその手を決して取りません。にっこり笑った表情を張り付けて「大丈夫だよ!」と言うばかりです。

何もかもをぶちまけるのは簡単です。でも、何も変わらなかったら?秘密を打ち明けることで、皆から嫌われてしまったら? それになにより、いつも通りの台本を逸脱してしまったら、自分の精神が崩壊してしまう!!

 

それでもシフランが諦めずにループを続けるのは、偏に仲間の事が大好きだからです。誰一人として覚えていないのに、たった一人、心中で家族と呼び続ける程に!

 

3 魅力あふれる仲間たち

 

シフランには四人の仲間がいます。最終的には全員の事が大好きになります。皆シフラン含めて仲間の事が大好きですし、シフランも仲間の事が大好きです。最高の世界、最高が故に地獄になるんですが……

 

ミラベル

肝っ玉世話焼き世界救済侍祭。大きなリボンが可愛くてキュート。彼女が一人だけラスボスである「王」の攻撃から逃れたことにより、救世主としてラスボスを倒すことになります。圧倒的主人公ポジション。世話焼きですが結構繊細で、他人との距離感を常に考えたりしています。彼女も大体私と同じ性癖なので、美少年が怪物に襲われるホラー小説読んで興奮したりしてます。

 

イザボー

パワー系戦士。パーティー内の誰よりも人の事をよく見ていて、シフランの小さな変化にも目敏く気付いて色々と気に掛けてくれます。ジョークを言い合って笑いあうのは本当に可愛い。とある一点でプレイヤーとシフランを非常にやきもきさせる事になります。パーティの精神的支柱で、プレイヤーとしては彼の存在にかなり助けられました。恋愛小説とか乙女チックなものが好き。KAWAII!

 

オディール

私の推し。四十代女性研究者で、十歳以上離れているパーティメンバーの事が表に出さないけど大好きで、高所恐怖症で好奇心旺盛な皮肉屋とかちょっと属性てんこ盛り過ぎる。滅茶苦茶可愛い。パーティのメンバーにも「新しい事を知ろうとしてるオディールの顔は可愛い!」と言われている。私もそう思います。カッコいいところは本当にカッコいい。あと戦闘面でとても頼りになる。大好き。

 

ボニー

十歳にもなってない子供。でもパーティ全員ボニーの事が大好き!私も好き!戦闘面では何もできないものの、ダンジョン探索中の「おやつリーダー」として、仲間内の胃袋事情を一手に引き受けている。こんなに愛らしい子供がいますか??

人に触ったり、触られるのを慣れていないシフランに、彼(もしくは彼女)が先生になって教えるイベントがあるのですが、あまりにも愛おしい。

 

……と、私は愛おしい仲間たちの事が大好きです。彼らの幸せのために最後までプレイしたといっても過言ではありません。

 

あともう一人、敵か味方かわからないけど絶対にcv石田彰だろって感じの人外がいるので、彼の魅力は是非プレイしてみて確かめて下さい。

 

4 死

シフランがループするトリガー、その大部分はです。死んでループするストロングスタイルです。ですが死への痛みがなくなったわけではないので、毎回ちゃんと苦しんで死にます。

 

最初の方こそ死んでループするたびにちゃんとリアクションを取ってくれるのですが、十回二十回、……百回とループを繰り返すと、死に対して物凄く淡泊になります。よく寝たとか言います。まあ見てるのは悪夢なんですが……。

 

死に慣れてくるのはプレイヤーも同じで、感覚が麻痺した結果、ちょっとしたショートカットの為にバナナの皮で滑って死ぬとかを繰り返すようになります。

 

ありとあらゆる方法でシフランは死にまくります。戦闘に負けて、岩に押しつぶされて、時を止められて、はたまたアレルギーで……兎に角多種多様な方法で死にます。このゲームで一番聞くBGMは間違いなくシフランが死んだ時のBGMです。

 

そりゃ何回も死んで自分が生きてるのか死んでるのかすら分からなくなった人間が縋るのは、唯一変わらない台本通りの舞台劇だよな~~~~!!! ぎゃは~~~最高すぎる~~~~!! オタクの中の邪悪な部分がボコボコにされてる~~!!

 

シフランは曇りまくります。曇るっていう言葉で言い表していいのかわからないくらい精神と肉体をぐちゃぐちゃにされまくります。オタクは(主語が大きい)……そういうのが大好き!

 

微かにあるかもしれない希望を何度も何度も繰り返し、そのたびに希望がへし折られ、心身ともにボロッボロになっていくシフランの果てしない旅路を祈りませんか?

一緒にこの作品の輝きに脳を焼かれませんか!? 突然5000字書くくらい狂ってるんです! 是非このブログを読んだ奇特な貴方も同じ気持ちを味わって貰えませんか!? 何卒、何卒よろしくお願いします!

 

では、私はもう一回プレイしてきます。胸が痛いよ~~~~シフラン、邪悪なオタクを許してくれ!!!それじゃあ!!