ロン毛取立人

戦慄怪奇ファイルコワすぎ!と逆転裁判とワンピースで身体の半分が構成されている腐女子です。

これは『私』の物語だった。(DETROIT BECOME HUMAN  感想)

ちょっとかっこつけたブログタイトル通りの内容である。(この文言で始め過ぎて予測変換で「ぶ」って打つとすぐ出てくるようになってきた)

 

注意! ここから先普通にネタバレを含むので未プレイの方は今すぐブラウザバックしてプレイして下さい

 

 

 

 

 オタクデトロイトプレイした!? 

 

私は昨日一周目をクリアした。

 

きっかけはTwitterで発売から三周年という節目にトレンド入りしていた事。

 

そこから飛んだ記事のリンクで、主人公の一人であるコナーのクソデカボイスの「開けろ! デトロイト市警だ!!」の動画を見た事だった。

 

なんか……急にめっちゃコナーの声がでかくなって……特に明確な理由はないんだけど無性に面白く、何回も見てしまう中毒性があるので、時間があれば見てください。

 

 


www.youtube.com

(後ろのハンクの顔がまたじわじわくる)

 

デトロイトは2038年の近未来、人間そっくりなアンドロイドが生活の一部になった世界で、三人のアンドロイドを軸とした物語を描くゲームだ。

 

主人公はアンドロイドとして初めて事件の捜査を専門として扱うRK800型のプロトタイプで警部補のハンクの(形式上の)相棒としてアンドロイド絡みの事件を追う事になる捜査官のコナー(上記の動画のクソデカボイス君)、

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元は老人の介護を行っていたアンドロイドであったが、とある事件が切っ掛けで自我を得、アンドロイドの解放の為にその身を捧げる事になるマーカス

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最後に、自身を所有していた家の娘が父親から虐待されていたのを見たのをきっかけに、その娘(アリス)を守るために自我を目覚めさせ、カナダへの逃亡を図る家事手伝いアンドロイドのカーラの三人である。

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主人公三人のうち二人が自我を持つ(ゲーム内では感情を持った彼らは変異体と呼ばれている)事からも分かる通り、このゲームで描き、問うている事は「自我を持ったアンドロイドは人か? それともモノか?」という、答えるのが難しい問題である。

 

この世界のアンドロイドは頭から足先まで人間そっくりで、それでいて人間よりも高性能だ。初期投資さえ行えば(アンドロイド一体が八十万くらい、それこそ車を買う感覚で買える)後は彼らに賃金を払う必要もなく、機械なのでどれだけ乱雑に扱い、そして過酷な状況に置いたとしても文句の一つ言わない(言えない)。やろうと思えば夜の営みすら共にしてくれる。

 

そんなアンドロイドが人間にもたらしたものは、大量の失業者と、パワハラが横行した社会だった。

 

アンドロイド程、奴隷に適した存在も居ない。何度も書いたが彼ら彼女らは人間そっくりなのに、人間ではない。人間には逆らわないようにプログラミングされているし、命令には忠実に従う。人間は愚かな生き物だ。それは歴史が証明している。そんな生物に、都合の『良すぎる』存在を与えてしまった、これ以上どこにも行きようがない世界、それがデトロイトというゲームの……或いは、本当に未来で訪れるかもしれない我々の世界だ。

 

アンドロイドに人権は無い。

当然だ。人ではないし、表面上見えている仕草や表情の一つとっても、プログラムで書かれたものに過ぎないのだから。

 

……そんな中で、プログラムではない"感情"を持つアンドロイドが登場したら?

 

「死にたくない」「ただ、この子供を脅威から守りたい」「平和に、静かに暮らしたい」

 

そんな衝動に駆られ、行動を起こすアンドロイドが生まれたら? 彼らは、人間とどう違うのか? デトロイトというゲームは、そんな問いを、ゲームプレイ中何度も何度も、プレイヤーに問いかけてくる。

 

それだけでも何日も考えてしまいそうな問いではあるが、デトロイトはそれだけではない。

 

デトロイトは、選択のゲームだ。

 

例えばこのシーン。

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これはアンドロイド嫌いで性格が結構悪くて周囲から結構嫌われてしまっているギャビン刑事にコナーが絡まれて「コーヒー淹れて来いよ」と言われているシーンの直後だが、コナー(プレイヤー)はその言葉を受けてどう行動するかを選ぶことが出来る。アンドロイドらしく従ってコーヒーを渡しても良いし、「誰が手前の命令なんか聞くかバーカ」というどっからどうみても変異体丸出しのプレイをしても良い。

 

この選択は、ゲームの最後の最後まで続く。唯一、最初は変異体ではないコナーも、ストーリーを進めていく中で変異体になるか、それとも機械のままでいるかを選ぶことが出来る。

 

この選択が、このゲームを非常に奥深くさせている。本当に細かい選択で、ストーリーがまるで別物になるからだ。

 

カーラが逃亡生活を送る中でアリスを見捨てる事だって出来るし、マーカスが世界を滅ぼしてアンドロイドの自由を得る事だって選択肢次第では出来てしまう。人を殺さず憎まずに、あくまでも平和な選択を取り続ける事だって出来る。

 

選択肢次第で、キャラは簡単に死ぬ。反対に、生かす事だって出来る。

 

ゲームを起動すると、初めて見る事になる画面に、金髪の女性型アンドロイドが出てくる。彼女は色々なコンフィグ設定を行ってくれた後に、プレイヤーにこう伝える。

 

「これは私達(アンドロイド)の物語、そして貴方達の未来」

 

 

プレイヤーはアンドロイドである三人を操作する事になる。主人公たちは正真正銘アンドロイドであるが、感情の最たるものである選択を行っているのは私――人間だ。

私の気分次第でコナーはギャビンにコーヒーを淹れるし、無視する事だってある。

 

マーカスは表面上平和主義でプレイしたが、私の咄嗟の判断が物凄くバイオレンス思考だった為(私は仕事終わりにバイオショックをやって「労働終わりの倫理観の無い行為は最高~~」と酒を煽るタイプの人間だ)、ぽいぽい人を殺して世論を最悪にした。行動に大きな矛盾がある。嘘と矛盾は実に人間らしい。

 

プレイ中には、あえて嘘をつく選択肢もある。多くは相手の事を考えての嘘だが、時には騙す為に嘘をつく事もある。嘘が言えるのは人間だけだ。例えそれがプログラミングされたものであったとしても、私は無意識に彼らを人間として扱っていた。

 

彼らを通して、私は私自身を見ていた。

 

私は内密行動がばれそうになったりして焦ると人を殺すし、相手の為にと思って嘘を吐いたら逆に好感度が下がるし、大事な選択を他人に委ねて、最悪の結果を招いたりした。全てプレイ前には想定していなかった私の思考回路だった。

 

プレイ中はキャラクターに(アンドロイドであると分かっていながらも)思い切り感情移入したし、アリスとカーラが家族になるところでは泣きそうになった。同時に、本当に私の生きるこの現実で人間そっくりのアンドロイドが普及したら私はそれと、それを受容した世間を受け入れる事が出来るのか、という事も考えた。感情移入していた癖に何をいうかと思われるかもしれないが、答えはノーだった。

 

私はたぶん職を奪われる側だし、人間的に醜い部分があると自覚しているので、恐らくアンドロイドの事を好きになれない。

 

きっと、近い将来現れるかもしれない彼らを愛せるのは、私よりももっと純粋な心をもった人間か、彼らが居る事が当たり前になった、未来の子供たちだけだろう。

私は彼らに不気味さを感じるし、出来る事ならば登場してほしくないと思う。

 

三人を操作するプレイヤーという立場でありながら、私は、三人が対立する事になる「人間」そのものの思考をしているのだ。

 

だからこそ、私は思う。これは『私』の物語だった。 (熱いタイトル回収)

 

アンドロイド達を通して、私は私の本質を垣間見た。私自身にある善性と、多大なる愚かさを思い知った。

デトロイトはプレイヤー一人一人に、選択の重さを突きつけてくる。時間制限もあるので、そこまで悠長に選んでいられないし、心が直感のままに選択している事も多々あった。

人間そっくりなアンドロイド故に、その中に確かに人間そのものの感情を見出し、そしてその中で己を知った。

 

……長々とちょっと痛い自分語りを繰り返したが、つまりはデトロイトはすごいゲームって事である。

 

PS4DL版のセールは終わってしまったが、このゲームをやらないのは、人生にとって多大なる損失であると思う。(少なくとも、このゲームが世に出てくれたおかげで、このゲーム内のような、最悪の事態はある程度免れる事になるかもしれない……と希望的観測をしている)

 

やろう!!!!! やって!!!

 

 

 

 

 

あと二次創作でよく見る、全部終わった後ハンクとコナーが同居してるの、あれぜ〜〜〜んぶオタクの妄想だったんかい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

わたしもさせます。

 

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酔っ払って泥酔したハンクにビンタかましてシャワーで水ぶっかけるやつ、何度だってしてくれ、一生一緒にいてくれや……。

 

それでは、2周目やってきます。